研究概要 |
神経回路は細胞間相互連絡を担う細胞接着因子が時間的・空間的に適切に制御されて発現されることにより形成される。神経系の発生過程において機能する細胞接着因子としては、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)などがよく知られている。我々は、IgSFのメンバーで、ショウジョウバエkirreのマウスホモログであるmKirre/kirrel3/NEPH2存骨髄ストローマ細胞がらクローニングし(Nat Immunol 4:457,2003)、成獣、及び発達過程のマウスの嗅球、海馬歯状回、小脳、後根神経節などの神経細胞に発現していることを示してきた(Neuroscience 133 : 615, 2005 & 150 : 880,2007 ; J Comp Natrrnl 511 : 92,2008)。そこで、mKirre/kirrel3/NFPH2遺伝子座に核移行シグナルを付加したβ-ガラクトシダーゼを挿入したmKirre/kirrel3/NEPH2欠損マウスを作成した。このヘテロ欠損マウスを用いて、Kirrel3の発現を検討したところ、嗅球や海馬歯状回、大脳皮質、小脳分子層などの神経細胞において強い発現が認められた。海馬歯状回においては、顆粒細胞の大部分に発現していたが、doublecortin陽性の神経前駆細胞には発現を認めなかった。大脳皮質での発現細胞は大部分がGluR2/3陽性の投射神経細胞で、secondary somatosensory cortex、insular cortexではII層からV層の神経細胞に広く発現がみられたのに対して、cineulate cortax、motor cortex、 vicnal Cortex、primary somatosensory cortex、primary auditory cortexではII層とV層にのみ発現が認められた。
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