研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究課題は、1)マウス卵黄嚢(YS)幹細胞が各個体から100%精製可能な培養条件の検討、2)マウスYS幹細胞の特性解析-特に分化能と分化誘導条件、3)マウスYS幹細胞の特性解析-遺伝子発現プロブァイルとエピジェネティクス、4)ヒトYS幹細胞が各個人から100%精製可能な培養条件の検討、5)ヒトYS幹細胞の特性解析-特に分化能と分化誘導条件、6)ヒトYS幹細胞の特性解析-特に遺伝子発現プロファイルとエピジェネティクス、の解明を目的とした研究である。その結果、1)出生時に不用となる胚体外組織のYSおよび尿膜(AM)細胞からの組織幹細胞の樹立に成功した、2)YS幹細胞の妊娠中期の胚体外組織への移植によりキメラAM形成に成功した、3)YSおよびAM細胞では、細胞増殖因子であるKlf4やc-Myc遺伝子が常時発現していた。以上の結果から、YSおよびAM細胞は再プログラム化に感受性が高く人工多能性幹(iPS)細胞を効率よく樹立できるのではないかと仮定し、YSおよびAM細胞からのiPs細胞の樹立と効率の解析を行った。その結果、1)マウスYsおよびAM細胞からiPS細胞樹立に成功した、2)樹立頻度は高く、成体体細胞からの10倍以上であった、3)マウスiPS細胞は生殖系列キメラ形成能があり幹細胞品質が確認された、4)ヒトAM細胞からも高い頻度でips細胞が樹立された、5)ヒトiPS細胞の多分化能が奇形腫(テラトーマ)形成能から示された。ヒトおよびマウスAM細胞のiPS細胞化高感受性は、Klf4やc-Mycに加えて、内在的なRonin等の未分化関連遺伝子の発現に起因すると考えられt。出生児に廃棄される胚体外組織であるが、個人の組織幹細胞やiPS細胞の細胞源として貴重な医療資材である事を示した。この成果は、Genes to Cells (2009)に発表した。
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