研究課題
挑戦的萌芽研究
生体エネルギーの産生に必要不可欠な酸化反応には必ず活性酸素が生じ、その蓄積の結果として種々の病態が惹起される。肥満状態からインスリン抵抗性・糖尿病への移行過程にも活性酸素を介した酸化ストレスが関与していると考えられている。NADPHオキシダーゼ阻害剤等の抗酸化物質がインスリン抵抗性・糖尿病に対して予防効果を示す可能性がある事実もこの仮説を後押ししている。酸化ストレスでインスリン抵抗性が惹起される分子機構としては、ストレス応答キナーゼであるJNKを介したインスリレセプターやIRS-1のセリンのリン酸化による、シグナル伝達能の低下等が提案されている。本研究では、肥満による酸化ストレス誘導の前段階の解明を目指し、酸化還元応答機構のSIK-FOXO1の制御を詳細に解明した。具体的には、SIKのグルタチオンの応答する配列を決定したところ、アクチベーションループと呼ばれる領域の活性化に必要な2つのリン酸化部位の中間に位置するCysであった。このCysをSerへ変換すると、SIK2の活性はいかなる状態でも一定を保つ反面、Alaへの置換は活性が消失した。SIK2-KOマウスの解析から、Mn-SODが高発現していることが示唆された。この経路はFOXOファミリーで誘導されていた。SIK2阻害剤を作製し培養細胞で検討した結果、やはりSIK2阻害状態でMn-SODで誘導された。さらに、SIK2を阻害すると虚血性疾患(特に脳梗塞)に有用であることが示唆された。一方、SIK2-KOマウスは僅かな肥満を示した。酸化ストレスの軽減された状態で、摂食抑制ホルモンのレプチンの発現低下が起こることが原因であった。しかし、SIK2-KOマウスではインスリン感受性は変化していないことから、SIK2による酸化還元ストレスの調節は軽度なストレスの範囲内であろうと予想される。
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