研究課題
挑戦的萌芽研究
前回我々はestrogenic compounds(bisphenol A)のSteroid and xenobiotic receptorを介した作用を報告した。今回、SXRと同様にcytochrome P450の制御に関わるaryl hydrocarbon receptor(AhR)に注目し、正常骨組織から骨肉腫までの作用について検討を行った。免疫組織化学の結果、正常骨組織ではAhRは骨芽細胞に発現することが明らかとなった。また、骨芽細胞の培養細胞(hFOB)を用いたマイクロアレイ解析(human 1A : Agilent Technologies)ではestrogen receptor beta(ERbeta)、エストロゲン合成酵素であるアロマターゼ、エストロゲン代謝酵素であるCYP1Bの制御に関わることが明らかとなった。骨肉腫培養細胞株MG-63およびhFOBを用いた定最的PCRにおいても、AhRリガンドである3-methylcholanthreneの添加によってERbeta、アロマターゼ、CYP1Bの発現増加を認めた。以上のことから、AhRは骨芽細胞においてエストロゲン作用の調節に関与することが示唆された。一方、ヒト骨肉腫組織を用いた免疫組織化学では、骨肉腫組織にBRbetaが発現することを確認したが、アロマターゼの発現は認められなかった。このことから正常骨細胞と癌細胞においては、AhRの性質、特に応答遺伝子の発現パターンが大きく異なり、エストロゲンシグナルを介した骨肉腫の病体と関連することが示唆された。
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