研究課題/領域番号 |
20659097
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
高野 裕久 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 領域長 (60281698)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2009年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 環境化学物質 / 脂肪肝 / 生活習慣病 / 核内受容体 / 予防 |
研究概要 |
環境化学物質の低用量曝露が脂肪肝に与える影響とその内在機構を明らかにすることを目的とし、影響の分子メカニズムの解明とヒトにおける健康影響評価への外挿を試みた。 本年度は、1)昨年度の検討で、対象物質としたフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)が、生活習慣病モデル動物であるBKS.Cg-+Lepr^<db>/+Lepr^<db>/Jcl(db/db)マウスにおいて示した脂肪肝、及び脂質異常症抑制の作用機序について検討した。また、2)新たな対象物質として、大気汚染物質に含まれるベンゾピレン(BaP)を選択し、脂肪肝に与える影響を評価した。 1)db/dbマウスにおけるDEHP曝露の脂肪肝、及び脂質異常症抑制の作用機序 肝臓における遺伝子発現変動をRT-PCR法で検討した結果、核内受容体であるペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPAR)α、PPARγ、レチノイドX受容体(RXR)αの発現については、DEHP曝露による影響は認められなかったが、その下流に存在する糖・脂質代謝関連酵素の発現は用量依存的に上昇した。これより、DEHPによる脂肪肝、および脂質異常症の抑制は、PPARを介した脂質代謝の促進に起因するものと考えられた。 2)BaP曝露による脂肪肝への影響 db/dbマウスおよび正常マウス(BKS.Cg-m+/+Lepr^<db>/Jcl(db/m+))に対し、BaP、あるいは溶媒(オリーブオイル)を6週齢より週1回、計7回、腹腔内投与した。BaPの投与量は、0.5、10、200μg/kg/dayの3用量とし、最終投与の24時間後に諸評価を行った。その結果、db/dbマウスにおいて、血中ALT値が用量依存的に減少した。一方、db/m+マウスでは、フルクトサミン値が用量依存的に抑制された。これより、BaP曝露は、肥満、脂肪肝の有無に関わらず、糖・脂質代謝に影響を及ぼす可能性が考えられた。
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