研究課題
挑戦的萌芽研究
われわれはSV40・T抗原トランスジェニックマウス(TGマウス)による発癌モデル系において十全大補湯の延命効果を確認した。これをもとに、「十全大補湯の抗腫瘍効果の分子病理学的解明:新規抗癌剤開発の糸口」の課題で挑戦的萌芽研究助成を受けた(平成20-22年度)。十全大補湯は、SV40・T抗原TGマウスに生後4週目から投与を開始した(投与群)。非投与群はSV40・T抗原TGマウスとこのTGマウスの背景マウスのFVBマウスとした。これらを生後8週、15週、25週、32週と経時的に安楽死させ、腫瘍、脾、肝組織からRNAを抽出し、cDNAアレイで遺伝子発現プロファイルを検討した。各群は、最少でも3匹以上を実験に供し、cDNAアレイで遺伝子発現プロファイルの結果を平均し、解析ソフトで検討した。その結果、(1)腫瘍:投与群と非投与群の眼球腫瘍では、cDNA遺伝子発現プロファイルは、有意な変化は認められなかった。(2)脾:投与群では非投与群に比し、pre-Bリンパ球遺伝子、ケモカインCCL21群などの免疫関連遺伝子群の発現が亢進し、MMP9,RAB44,MMP25などの細胞増殖・運動・浸潤の遺伝子群の発現が減弱していた。(3)肝:薬剤代謝に関与するLEAP2、cytochrome P450 family3などが亢進していた。炎症に関するもので亢進したのはHAMPで、減弱したものはケモカインリガンドCXCL14などであった。その他に、SV40/T抗原の細胞癌化に関与するLipocalin2、細胞接着に関与するフィブロネクチン1などが亢進していた。それらの結果をreal-time PCRで確認した。以上の結果を以下のように総括した。(1)十全大補湯投与により免疫能が活性化し、腫瘍の増殖を抑制し、延命効果があったとの単純な仮説には至らないだろう。(2)十全大補湯投与により脾で細胞運動・浸潤の遺伝子群の発現が高度に減弱していた。これは、腫瘍細胞にそれらの遺伝子群を発現させる能力がなく、脾の細胞にそれらの遺伝子群を発現させ、血中に放出された遺伝子産物を腫瘍細胞が利用するのではないか、それを十全大補湯が抑制するとの仮説が成立するか?(3)十全大補湯投与により肝臓で発現の減弱した遺伝子群の科学的・実証的な解析ができない。新たな実験系が必要である。
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