研究課題/領域番号 |
20659140
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
神田 隆 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40204797)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / 血液脳関門 / 血管内皮細胞 / トランスポーター |
研究概要 |
平成20年度の成果をふまえ、申請者の教室で確立したヒト脳毛細血管由来内皮細胞株とヒト血管周細胞株、および平成21年度に確立したヒト神経膠細胞不死化細胞株の3者による"Neurovascular Unit"のin vitroでの再構築モデルの確立を第1の目的とした。ゲル化した細胞外マトリックス中に、in vivoと同一の脳毛細血管を再構築しようという世界に類のない試みであり,当初より主技の確立まで相当な時間を要することが予想されたが、2年間の成果として得られたモデルはまだ不十分なものであり、本研究計画の最終目的である血液脳関門を介したβアミロイド排泄機構の基本的なデータ蓄積には至っていない。 [方法と結果](1)60mmプラスティック培養皿にラットI型コラーゲンを5mmの厚さでゲル化したものを作成、その上にDiIをとりこんだ脳毛細血管由来内皮細胞を播種した。約5日間の培養継続により、脳毛細血管内皮細胞はvivoでの毛細血管網に類似する連続した管腔構造をゲル内に形成した。この上にDiO標識血管周細胞を播種し、3日間培養した。血管周細胞は脳毛細血管内皮細胞の管腔構造の周囲にはりつくように生着し、一部の血管では管腔構造の大部分を覆うに至った。(2)管腔構造を形成したヒト血液脳関門由来細胞に、アミロイド輸送に関与するトランスポーターであるLRP-1とP-glycoproteinが発現していることを確認した。 本研究の意義:ヒト血液脳関門由来細胞を用いてヒト脳微小血管に極めて近似したin vitro血液脳関門モデルを作製し、アミロイドの排泄機構を見ようという世界初の試みである。血液脳関門でのアミロイド排出メカニズム探求の最良のモデルということができ、その意義は極めて大きい。2年間の本研究は、残念ながら第1段階のin vitro血液脳関門モデル作製中途で終わったが、このモデルの必要性は2年前に増して高まっているものと考える。新たな研究プロジェクトのもとで、最終目的であるアミロイド排泄機構の解明まで更なる基礎実験の積み重ねが必要である。
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