研究概要 |
本研究にはヒトおよびラットのEST(expressed sequence tag)データを供した。先ず解析対象として、ヒト4,481種類、ラット3,403種類の未知のESTを用いてそれぞれの生物種のゲノムに対して相同性検索し、相同率90%以上である配列のゲノム上の位置を特定した後、5'側のゲノム位置から転写方向側の上流2kbを含む配列を取得した。そして既知miRNAデータベース(miRNA DB)(ヒト474種類、ラット234種類)や予測miRNA DB(ヒト743種類、ラット236種類)に対して相同性探索施行した。その結果、既知のmiRNA DBからヒト3種類、ラット3種類、予測miRNA DBからヒト15種類、ラット1種類を獲得した。次に既知のヒト3,134種類、ラット3,950種類のESTを用いてそれぞれのゲノム位置をUCSCのデータベースから取得後、上記と同様の既知および予測miRNA DBに対して探索を行った。その結果、既知のmiRNA DBからヒト54種類、ラット8種類、予測miRNA DBからヒト112種類、ラット17種類を獲得した。in silicoで同定されたmiRNAのうち、ヒト57種類、ラット10種類が実際に発現しているか各種臓器でTaqmanシステムを用いて定量したところ、ヒトで15種類、ラットで4種類のものの発現が確認された。そのうちhsa-mir-7-1は膵島と下垂体のみで発現が認められており興味深い。既に同発現ベクターを作成しインスリン分泌産生株で発現させることに成功した。現在、種々のブドウ糖濃度におけるインスリン分泌への影響を検定しているところであり、miRNAの新たな役割が開発される可能性がある。
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