研究課題
挑戦的萌芽研究
ゲノム上に存在するマイクロRNA(miRNA)は機能性RNAとして生物学的に重要な機能を担っている可能性が示されるようになって来た。特に、がんの発生においてmiRNAの発現が変化することで標的遺伝子の発現に異常が来していることが示唆される具体例が示されつつある。この場合がん抑制遺伝子がmiRNAの標的遺伝子となることによりmiRNAの過剰発現が抑制遺伝子のdown-regulationを来す場合と、miRNAの発現低下により標的のがん遺伝子の発現制御が解除される場合が考えられる。事実、ヒトがんにおいてmiRNAの存在する部位がゲノム異常の標的となっている例が最近続々と報告されている。本研究では造血系腫瘍を対象としてmiRNAの発現により白血病の誘導を行い、未知の発がん機能を有するmiRNAとその標的遺伝子を同定し、miRNAを介する発がん機構の解明を目標とした。本年度は、前年度レトロウィルスベクターに構築したマウスmiRNAライブラリーを導入したNUP98-HOXA9トランスジェニックマウス骨髄細胞を用いて骨髄移植を行ったマウスにおける白血病発症能を検討した。この結果少数のクローンにおいて1年間の潜伏期の後骨髄性白血病の発症が確認された。現在この白血病におけるmiRNAの役割について解析を進める目的で、miRNAの同定、レトロウィルス挿入部位の同定、白血病細胞における遺伝子発現プロファイルの解析、NUP98-HOXA9誘発白血病におけるmiRNAの発現変動について検討している。
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