研究概要 |
排便反射に重要な役割を果たす骨盤神経と壁内神経について、直腸切離吻合モデルにおける完全な機能回復と神経再生の全貌を明らかにするために、脊髄神経軸索再生を抑制するsemaphorin3A(Sema3A)の選択的で強力な阻害薬であるSM-216289(Xanthofluvin:大日本住友製薬より譲渡)(Kanekoら、Nature Medicine 12 : 1380-1389, 2006)を直腸吻合部に局所持続投与を行い、骨盤神経が再生するかどうか生理学的(排便反射の測定)および組織学的(免疫染色)に検討することとした。まず結腸神経は温存された直腸切離吻合モデルを作製し、壁内神経線維と外来神経のうち腸壁に沿って走行する骨盤神経が切離されたモデルにおいて、腸壁内神経は8週目で神経線維が再生してくる事を確認した(Katsui & Takaki et al., AJP GI Physiol 294 : G1084-G1093, 2008)。5-HT_4 receptor agonistと脊髄神経軸索再生を抑制するSema3Aの選択的阻害薬であるSM-216289を共に直腸吻合部に局所持続投与して2-4週目に腸壁内神経と骨盤神経の再生が促進され排便反射が早期に完全に回復するかを調べるために、5-HT_4 receptor agonistを単独投与したところ5-HT_4 receptorの発現が促進され、腸壁内神経再生促進作用を示すことにより(特許出願中)、排便反射の早期の完全な回復を認め、さらに免疫組織学的検討により腸壁内神経再生・新生作用促進効果を示すことを明らかにした(Matsuyoshi & Takaki et al., Neurogastroenterology and Motility, 2010, in press)。
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