研究概要 |
我々は破骨細胞分化の際のFosの第1次発現をそのままに、第2次発現のみを取り除くことより、c-Fosの第1次発現に依存する遺伝子群と、c-Fosの第2次発現に依存的な遺伝子群の2群が存在することを見いだした。本研究は、破骨細胞分化の際のc-Fos第2次発現に依存的な遺伝子群の解析を行なうことにより、c-Fosによる骨カップリング調節などの新たなる役割を解明することを目的とした。 平成20年までの研究において、培養細胞を用いた実験から、第2次c-Fos発現は破骨細胞の成熟化と寿命を制御していると考えられた。そこで平成21年度は、破骨細胞分化後期でc-Fosを欠損する「Fos^<flox/->,CtskCreマウス」およびコントロールである「Fos^<flox/->,CtskCreマウス」の解析を行なった。破骨細胞分化後期でのc-Fosを欠損するFos^<flox/->,CtskCreマウスは、全身のc-Fosを欠損し歯の萌出が起こらないマウスと違い、歯の萌出が起こり、体重もコントロールとほぼ変わらないことが解った。さらに、これらマウスの脛骨より切片を作成し、骨量や破骨細胞数、骨芽細胞数などの骨形態計測を行なったところ、Fos^<flox/->,CtskCreマウスでは、多核の破骨細胞が少なく、さらに骨量が低下していることが明らかになった。この結果は、破骨細胞分化後期にて破骨細胞分化後期を欠損させることにより、破骨細胞の成熟が抑制される一方、単核の破骨細胞の寿命が長くなり骨量を低下させていることを示唆する。 本研究により、c-Fosは破骨細胞分化の初期においては"正の制御を"担い、後期においては"負の制御"を行なっていると考えられた。
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