研究課題/領域番号 |
20659244
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻川 洋 京都大学, 医学研究科, 助教 (20362501)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | モルヒネ / eIF5A / p53 / DHS(deoxyhypusine synthase) / DOHH(deoxyhypusine hydroxylase) / spermidine / P53 / DNA損傷 |
研究概要 |
前年度の研究成果より、モルヒネは、CD3陽性T細胞の、外部ストレス(IL-2、LPS、PHA)に対する増殖能を低下させることがわかり、その作用は、P53経路を介することが、強く示唆された。P53の制御分子で、かつ細胞増殖に関連する分子を、これまでの予備実験中に作成した、モルヒネ投与により発現上昇が見られる、CD3陽性T細胞の遺伝子ライブラリーの中から、検索したところ、eIF5Aがあった。 eIF5Aは、低濃度モルヒネ(nM)では、その遺伝子発現及び蛋白量ともあまり変化が見られないのに対し、高濃度モルヒネ(μM)ではてその蛋白量減少と代償的な遺伝子上昇が見られる。 この注目すべきeIF5Aは、spermidineからhypusinationという2段階の翻訳後修飾を受け生成される。この過程には、DHS、DOHHの2つの酵素を必要とされるが、モルヒネはこのどちらかを不活化し、その結果、eIF5Aの生成阻害が起こり、外部ストレス(感染時など)に対する免疫細胞の反応性増殖が抑制さることが考えられた。となると、eIF5A合成経路がモルヒネシグナルのである可能性がある。CD3陽性T細胞にモルヒネ添加し、蛋白抽出し、2次元電気泳動を施行し、蛋白分離後、ウェスタンブロットにより、DHSによる生成物であるdeoxyhypusinated eIF5A、DOHHによる生成物であるhypusinated eIF5A(通常のeIF5A)の蛋白量を定量レたところ、モルヒネ投与した場合、中間産物であるdeoxyhypusinated eIF5Aの割合が高い傾向にあり、成熟した、活性型hypusinated eIF5Aの生成が抑制される傾向にあった。つまり、モルヒネはDOHHの酵素活性を阻害する可能性が示唆された。さらなる検討が必要である。
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