研究概要 |
昨年度までに同定した骨芽細胞分化に機能するmiRNAは,古典的WntシグナルもしくはBMP-2によって発現量が増加するmiRNAである.骨芽細胞の分化段階にけるこれらのmiRNAの発現量の変化を調べるために,MC3T3-E1細胞を4週間培養し,1週ごとに全RNAを回収した.このRNAを用いてStep-OneによるリアルタイムPCR法によって発現量の変動を定量化した.骨芽細胞の分化が進むにつれて,これらのmiRNAの発現量は増大した.またこれらのmiRNAをantagomiRもしくはsgRNAを用いてノックダウンした.リアルタイムPCR法でこれらのmiRNAがほぼ検出限界以下までノックダウンさせることに成功した.これらのノックダウンによって骨芽細胞分化に関連するmRNAの発現を調べたところ,オステオカルシンのmRNAは有意に減少しなかったが,アルカリフォスファターゼmRNAは著しく減少していた.以上の結果から,これらのmiRNAは,骨芽細胞分化に関連するmiRNAである可能性が高いと考えられた.そこで,これらのmiRNAの標的となるmRNAの候補を,データベースより検索した. さらに,TRUEジーンサイレンシング法を用いたmiRNA抑制性sgRNA発現プラスミドのライブラリーを未分化間葉系細胞培養系に導入し,アルカリフォスファターゼ活性染色やリアルタイムRT-PCR法を用いて,Runx2,osterix,I型コラーゲン,オステオカルシン,ALP,BSP,MEPE,MMP-13などのmRNAの発現量を測定した.これらより骨芽細胞分化と関連するmRNAが誘導されるsgRNAが見出された.これらのsgRNAの骨・軟骨形成に及ぼす影響及び内軟骨性骨形成に対する影響について検討を行った.sgRNA発現プラスミドもしくは2'-O-methyl化sgRNAの導入によって骨形成マーカーの増加が観察され,これらのsgRNAは骨形成活性を有している可能性が考えられた.
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