配分額 *注記 |
23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
2010年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2009年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2008年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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研究概要 |
本年度は、レーザーアブレーション高周波誘導結合プラズマ質量分析法や波長分散型X線分析装置を用いて魚類耳石中の微量元素を多元種同時に測定し、水産重要種であるニシンやウナギなどの回遊魚の解析を行った。ニシンの飼育は、水温一定(13℃)で塩分を変化させた3つの実験群(11,23,35‰)、塩分一定(23‰)で水温を変化させた3つの実験群(9,13,17℃)で行なった。ニシンは、孵化から60日間飼育し、これを標本とした。耳石中の微量元素組成(Na/Ca,Mg/Ca,K/Ca,Sr/Ca,Ba/Ca)は、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)を用いて測定した。得られた耳石中の元素組成と、水温および塩分との関係性は、分散分析法および相関係数を用いて解析した。水温を変化させた実験群間においては、測定した全ての元素カルシウム比において有意差が見出された。一方、塩分を変化させた実験群間においては、K/Ca、Sr/CaおよびBa/Ca比で有意な差が見出された。特に、Sr/Ca比と塩分は、強い正の相関関係を示した。以上の結果から、ニシン耳石中の元素組成は、水温と塩分から影響を受けるが、その影響の程度は元素によって異なることが示唆された。インドネシアジャワ島で採集された熱帯ウナギA.bicolor bicolorを用いて回遊履歴に推定を行ったところ、4つの回遊型が見いだされた。このことから、インドネシアに生息する本種は、多様な回遊生態を有することが明らかになった。
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