研究概要 |
本研究では,多数のセンサノードが散布されたデータ収集型無線センサネットワーク(WSN)において,必要最小限のノードを稼働させ,残りをスリープさせることで,WSNのk重被覆時間を最大化する手法を提案した.本手法を実現するため,k重被覆時間を最大化する,各時刻のノードの動作モード(センシングやスリープなど)およびマルチホップ通信経路を決定する問題を定式化した.本問題は典型的な組み合わせ最適化問題であり,短時間で最適解を算出するのは困難である.そのため,時間を多期間に区切り,一期間にわたって維持される最適な動作モードとデータ収集経路を繰り返し決定していくヒューリスティックアルゴリズムを提案した.提案アルゴリズムとして,k重被覆への貢献度合順に稼働させるノードを選んでいく方法と,フィールドを1重被覆するノードの集合(レイヤ)を複数求め,k個の稼働レイヤを選択する耐故障性が高い方法を提案した.提案手法における各部位のk重被覆時間延長に対する効果を評価するために,提案アルゴリズムおよびその一部位を無効化したアルゴリズムの比較実験をシミュレーションにより行った.その結果,kの値やノード数にかかわらず,提案手法は,各比較手法よりもk重被覆時間が約1.1倍から1.7倍長いことが確認できた.
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