研究課題/領域番号 |
20720112
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
鄭 世桓 島根県立大学, 総合政策学部, 助手 (80458083)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2009年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2008年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 対照言語学 / 韓国語教育学 / 日本語教育学 |
研究概要 |
本研究は朝鮮植民地期に、日本人を対象として朝鮮語学習奨励政策に即して行われた朝鮮語教育に着目し、特にその際に使用された朝鮮語学習書などを当時の日本語学における言語学的潮流と比較しつつ、日韓対照言語学的観点から考察することで、この期における朝鮮語教育を言語学的に解明しようとする試みである。研究の初年度である平成20年度に日本や韓国で収集した朝鮮語学習書のうち、『韓語通』(1909)『韓語文典』(1909)など、わりあい文法事項を品詞別に体系的に分類し、記述している学習書を中心として分析を行い、とくに文の成分のうち、述語に位置しつつ、主語をはじめ、目的語や補語など格関係における結合価に影響を与える動詞に着目した。例えば、鄭(2010)の分析によれば、『韓語通』では動詞の内部構造を「語根+語尾」とし、全体的に動詞の活用、特に語尾の変化を中心として論じていることを指摘した。また、論述にあたっては、朝鮮語動詞の意味・用法を当時の日本語学(大槻文彦文化からの影響)の概念を用いて説明しているところが目立ち、文法事項に関する定義などが省略されている場合が多いため、基本的に日本語学に関する知識を持っている人を対象としていると考えられること、そして文型や例を示す場合にも、日本語の表現を中心としてそれに対応させる形で朝鮮語の文型や例を示していることが指摘できた。また、当時のことばだけではなく古語にも言及しているが、古語そのものの意味・用法のみならず、古語と当時の朝鮮語との間の対照関係や、古語の影響を受けた方言にも言及している上、話し言葉としての口語にも言及していることについても分析している。今後、このような朝鮮語学習書の記述について、教育項目である各文法事項の記述が時代別にどのような変遷を経て、また当時の日本語学や朝鮮語学と関わりあっていたかについての考察が求められる。
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