1996年から2007年に実施された日本のTOB335件の買収プレミアムの決定要因について、先行研究ではほとんど注目されていなかったターゲット企業の財務面と所有構造面の両面に主に注目し、各指標の影響を分析した。その結果、日本のTOBのプレミアムは、TOB前の業績悪化期間の長さに対するマーケットの消極的な評価と、TOB前の対象企業の売上高利益率、安全性、業績の伸びに基づく買収者の積極的な評価という財務面への評価がベースとなっており、さらに上場廃止と目標取得比率という買付戦略の側面を加える形で一定程度決定されていることが明らかとなった。
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