本研究では、タイ東北地方のウボン・ラーチャターニーにおけるハイパーマーケット進出が、地域経済、特に地域の消費者及び流通業者にどのような影響を及ぼしつつあるのかを調査した。人口約10 万人のウボン市街地におけるハイパーマーケット(類似業態であるC&C 含む)進出店舗数は3 店に上り、これらの同地域の市街、流通、消費に与えた影響は広い範囲に渡っている。流通業者の廃業は統計上では必ずしも明示されなかったが、アンケート調査やインタビュー、視察などの定性的調査から、一部では共存可能な状況にあるものの、個人商店の事業機会圧迫と中心市街の空洞化という影響を与えつつあることが示された。消費に関しては、必ずしも高所得ではない世帯月収5000 バーツ以上(年収約5400 ドル以上)のほとんど(85.7%)がハイパーマーケットでの購買を実際に行っており、ハイパーマーケットが同地域のボリュームゾーンの顧客層を捉えていること、さらに典型的な顧客のプロフィールとして子供のいる家族、若年層、耐久消費財の購入や自家用車の利用の進捗、住宅・医療等基盤インフラへの支出の少なさ等が明らかになった。
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