研究概要 |
本研究では,IASBの方向性と既存のGAAPとの相違点を明らかにした上で,IASBが提案する保険契約の会計基準が適用された場合の経済的な影響を予測し,考察した。既存の保険会社のGAAPは保険会社の資金提供者である保険契約者を保護する機能を持っている。つまり,情報提供機能よりも利害調整目的が重視されてきた。わが国の保険会社は北本(1974)が「超保守性」といったように,諸外国(特にアングロサクソン諸国)よりも一層保守的な会計慣行が容認されてきた。IASBは保険会社(保険契約)のGAAPについての基準設定を進めており,その中で保険負債を公正価値測定により行うモデルを提示している。保険契約の会計基準は保険会社を一般の企業と同じ競争のフィールドに置くことを意味する。保険会社のあり方そのものを変えることが求められるといっても過言ではないであろう。
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