研究課題/領域番号 |
20730536
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 講師 (60449113)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2009年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2008年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | オーストラリア / 移民 / 英語教育 / Adult Migrant English program / AMEP Research Centre / Adult Migrant English Program / 成人移民 |
研究概要 |
本研究では、多文化社会における主流言語教育の持つ課題を考察するために、オーストラリアにおける成人移民英語プログラム(Adult Migrant English Program、AMEP)の展開を、プログラムに関する総合的な研究を行っている成人移民英語プログラム研究所(AMEP Research Centre、AMEP RC)の役割に注目し、運営や研究活動、そして関係各者との協働のあり方を検討した。 具体的には、各種の文献による調査に加えて、同研究所の主要な研究所員7人にインタビューを行い、各研究員の研究所での役割、業務として行っている研究内容、研究への動機・目標、研究遂行上の課題の4つを中心に語ってもらい内容を分析した。結論としては、AMEP RCが果たしている役割は、1)広く社会における移民に対して存在する様々な社会的要請の取捨選択、2)それに基づいた研究や教師教育のプロジェクトの遂行、3)専門的な意見としての研究成果の移民市民権省(Department of Immigration and Citizenship)への提出、4)これら一連の仕組みを通してAMEPの教育プログラムを向上させることなどが確認された。ただし、各種のプロジェクトの計画作成段階から学問的必要性や現場の教師の要望だけでなく政府の意図が考慮されていること、プロジェクトの承認は政府の方針に強い影響を受けていることなどから、結果として移民省の意図を学問的に権威付ける役割を果たしているという側面も指摘できた。また、多くの研究員から任期制の研究職であることに起因する懸念が語られた。これは研究遂行上の強い動機になっているとともに精神的に大きな負担にもなっている事も観察された。 本研究のように社会の要請と現場の言語教育とのつながりを可視化していく作業は、移民の権利保障の枠組みを明らかにすることであり、多文化社会における主流言語教育の持つ課題を考察することでもあった。多文化・多民族化が加速しつつある日本のあり方を構想する際には有用な視点となることであろう。
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