研究課題/領域番号 |
20740099
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡部 信広 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (00436073)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2009年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2008年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 宇宙物理 / 天文 / 光学赤外線天文学 / X線天文学 |
研究概要 |
研究代表者は、弱い重力レンズ解析・光学解析・X線解析を用いて銀河団の系統的研究を行い現在(平成22年4月9日)までに6本の論文を受理、5本の論文を提出した。特筆すべき成果について3点のみ記述する。(1)すざくX線衛星を用いた銀河団外縁部の観測と光学・レンズ解析によって、銀河団外縁部ガスの温度と周囲の宇宙論的環境との相関の発見である。高温領域は大規模構造と接しており、低温領域は銀河がほとんどいないヴォイド方向と接していた。本研究は銀河団が宇宙論的環境の中でどのように成長・進化をしているのかを示した極めて重要な論文である。(2)約20個の銀河団を用いて銀河団の扁平率の直接測定を行った。銀河団の質量の大部分を占める暗黒物質は目に見ることができないため、重力の物理を用いたレンズ解析によってのみ、その形を直接検出することが可能となる。現在の標準モデルである、冷たい暗黒物質による階層的構造形成モデルに基づく扁平率と観測量が一致した。本結果は暗黒物質の素粒子的性質に対する現在の標準的な考え方を強く支持する全く新しい証拠となり、また、このような暗黒物質分布の「ゆがみ」からその正体にせまる可能性を初めて示した点で重要な結果と言える(3)銀河団は今も小さな構造が落ちてきており、銀河団の巨大な潮汐力によってその構造ははぎ取られ、銀河団の一員となることが考えられている。近傍の乙女座銀河団に対して弱い重力レンズ解析を行い、これら銀河団のサブ構造の質量を測定し、その大きさが主銀河団の質量によって計算される潮汐半径と一致することを発見した。本研究は、従来レンズ解析が出来ると思われていなかった銀河団のサブ構造ですらレンズ解析が可能であり、同時にそれらをより統計的に調べることによって、宇宙論の検証に応用できることを示したという点で重要な論文である。
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