研究概要 |
充填スクッテルダイト化合物Pr_Nd_xOs_4Sb_ (x=0.45, 0.25, 1.0)の純良単結晶を育し,弾性定数C11の周波数依存性(34MHz~245MHz)の精密測定を行った.PrOs_4Sb_(x =0)で観測される単一の超音波分散は希釈系に於いても観測され,Nd濃度xの増加に伴い徐々に高温側にシフトする結果が得られた.一方で,x=0.45の試料では極低温T=0.25Kにおいて弾性定数C11が極小をとる,これはPrイオンが超伝導に寄与しているにも関わらずNdイオンの結晶場基底状態の縮退が解けていること示す結果である.さらに,終端物質x=1.0のNdOs_4Sb_ について,強磁相内(2T≤H≤10T, T≤1K)の領域に於いて磁場に鈍感な弾性定数のソフト化が存在することを初めて明らかにした.これらの結果はLaOs_4Sb_, PrOs_4Sb_と同様に,NdOs_4Sb_ に於いてもオフセンタートンネリングが極低温で存在することを示しており,本系の重い電子状態の発現機構に縮退したオフセンター自由度が関与していることを強く示唆する.
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