研究概要 |
シリコンは電子デバイスに最も広く用いられている半導体であり,環境にやさしく豊富な材料である.しかし,シリコンからの発光は格子振動を介在する間接遷移型であるため,一般に効率が低く,発光デバイスには用いられていない.本研究では,研究代表者らが世界に先駆けて発光制御の基本原理実証に成功してきたフォトニック結晶・光ナノ共振器といった光ナノ構造をシリコンへ導入した.その結果,光ナノ構造のない参照構造と比べ,数百倍程度のシリコンからの発光の増大が観察された.また,光ナノ構造を強く励起した際のシリコン特有の新たな発光増強のメカニズムの可能性および,表面処理による発光に競合する非発光過程の抑制と発光のさらなる増強も見いだされ,光ナノ構造がシリコンからの発光効率の改善に有用であることが示された.
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