研究課題/領域番号 |
20760479
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岩瀬 裕希 日本原子力研, 研究員 (70391266)
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研究期間 (年度) |
2008
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2009年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2008年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 中性子小角散乱 / 炭化水素系電解質膜 / 放射線グラフと重合 / ポリエーテルエーテルケトン / 燃料電池 / 量子ビーム |
研究概要 |
今年度は、中性子小角散乱と電気伝導の同時計測を実現するための装置の整備を行なうとともに、放射線グラフト重合法で作製した炭化水素系電解質膜の構造解析を進めた。まず電気伝導計を購入し、さらに中性子小角散乱と電気伝導の同時計測用試料セルを独自に設計することで、中性子小角散乱と電気伝導の同時計測を実現した。次に低結晶化度のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材膜(結晶化度10%)を高温でアニーリング処理を行なうことにより結晶化度をあげ、次いでスチレン鎖をグラフト重合することで炭化水素系電解質膜(PEEK電解質膜)を作製し、このイオンチャンネル構造を明らかにすることを目的に、コントラバリエーションを活用した中性子小角散乱により構造解析を行なった。測定の結果、放射線グラフト重合法で作製したフッ素系電解質膜(架橋ポリテトラフルオロエチレン電解質膜)では、基材とグラフト鎖は明確な界面を示すのに対して、今回作製したPEEK電解質膜では不明瞭な界面であることが明らかとなった。また直径が約14ナノメートルのイオンチャンネル構造を形成していることも明らかとなった。さらにPEEK基材膜の結晶化度を10%から増加させると到達グラフト率も増加するが、結晶化度28%を超えると急激にグラフド率が減少することが示された。この起源を明らかにするために、中性子小角散乱およびX線小角散乱によりPEEK基材膜の構造を測定した結果、結晶化度が28%を超えると、PEEK基材内の結晶相はラメラ構造を形成し、この構造は低結晶化度のPEEK基材を作製する際の合成プロセスに依存することが明らかとなった。PEEK電解質膜の高性能化を計る上でグラフト率の最適化は最も重要な因子であることから、今回得られた結果はPEEK電解質膜の作製プロセスを最適化する上で極めて有効な情報となった。
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