研究概要 |
自己組織化プロセスを利用した親水性基板へのストライプ構造形成過程について検討を行った。用いたのは移流集積法と呼ばれる方法で,一定温度条件下で,基板を垂直にサスペンションに浸漬すると,溶媒の蒸発に誘起された流れによって,粒子はメニスカス先端部に集積する。極めて低い粒子濃度条件で実験を行うと,液面に平行な向きに,非常に規則性の高いストライプ構造が自発的に基板上に形成する。ストライプ構造の粒子堆積部の幅は粒子濃度に依存するが,非堆積部幅は堆積部の厚みに依存する。さらに,堆積部の幅は,そのすぐ隣に形成する非堆積部の幅と明確な相関関係を示したことから,堆積部と非堆積部はそれぞれ別々に形成しているのではなく,両者の形成は同時に協同的に進行しているものと考えられる。これらの結果を基に,ストライプ構造の形成メカニズムを提案し,その定量的な妥当性を確認した。さらに塩添加が与える影響について検討し,低イオン濃度領域ではフィンガリング不安定性が支配的となるため液面に垂直なストライプ構造が発現することを見出した。一方で,高イオン濃度領域では,イオンの潤滑効果が支配的となり,粒子-基板間の摩擦力が低減されることによってガスケット構造が形成することを示した。
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