研究概要 |
ガス化は、高効率に固体燃料をガスに変換できる有用な技術である。しかし、バイオマスのガス化ではタールが多く生成するため、配管閉塞や腐食の問題を生じている。 本研究では、水素とタールによるバイオマスチャーのガス化阻害の速度を調べた。まず、熱天秤反応装置を用いて、水素分圧を(P_<H2>=0, 3, 10, 25kPa)に変えた実験を行い、水素によるチャーの水蒸気ガス化速度の影響を調べた。その結果、水素分圧が高いほどバイオマスチャーのガス化が阻害されることを明らかにした。そして、その原因は、ガス化反応前半においては逆酸素反応により、ガス化反応後半ではチャー表面への水素の解離吸着によることを発見した。また、モデルタールとして、バイオマス主成分の一つであるセルロースから主に生成するレボグルコサンを用いて、チャーガス化への影響も調べたところ、水素だけでなく、レボグルコサンからの熱分解生成物によっても、チャーのガス化が阻害されることを明らかにした。 さらに、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(AAEM)の、バイオマス構成成分(セルロース・キシラン・リグニン)の相互作用への影響も調べた。その結果、AAEMにより、セルロース由来の水溶性タールの生成量が減少することを明らかにした。また、セルロースとキシランの相互作用にはAAEMは顕著な影響を与えないことがわかった。
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