研究課題/領域番号 |
20780089
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石丸 喜朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (10451840)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2009年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2008年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 味覚受容体 / 酸味 / TRPチャネル / シグナル伝達 / 遺伝子破壊マウス / 味神経応答解析 / カルシウムイメージング解析 |
研究概要 |
研究代表者らが世界に先駆けて発見した酸味受容体候補PKD1L3とPKD2L1の生理機能を検証する目的で、それぞれの遺伝子破壊(KO)マウスと二重KOマウスを作出した。KOマウスが、酸味や他の味覚受容に関してどのような表現型を示すかを調べるために、行動学的な2瓶嗜好テスト・リッキングテストと電気生理学的な味神経応答解析を行った。行動学的解析では、いずれのKOマウスも、全ての5基本味物質溶液に対して同腹子の野生型マウスと同様の嗜好行動や忌避行動を示した。一方、味神経応答解析では、PKD2L1 KOマウスと二重KOマウスのクエン酸、塩酸、酢酸に対する鼓索神経応答が、神経束全体と単一神経繊維の両方の場合で、野生型マウスと比較して有意に抑制された。PKD1L3 KOマウスでは酸刺激応答が野生型マウスと同様に観察された。また、舌咽神経ではいずれのKOマウスでも野生型マウスと同様の酸刺激に対する応答を示した。さらに、塩味、甘味、苦味、うま味物質に対しては、鼓索神経と舌咽神経の両方で、いずれのKOマウスも野生型と同様の応答を示した。以上の結果から、PKD2L1は生体内で実際に酸味受容体として機能することが実証され、また、体性感覚など味蕾組織以外を介する酸味受容機構の存在が示唆された。 ヒト酸味受容体に関しては、カルシウムイメージング法を用いた機能解析において、クエン酸など酸味物質投与に対してオフ応答を示す機能的なPKD1L3のN末端細胞外領域とPKD2L1の全長領域を同定した。N末端細胞外領域がヒト由来でそれ以降はマウス由来のキメラPKD1L3を、ヒトPKD2L1と共にHEK293細胞に発現させた場合、クエン酸など酸味物質投与に対してオフ応答を示し、また、酸味を甘味に変える味覚修飾物質クルクリゴ果実抽出物存在下でも酸刺激に対する応答が観察された。この実験結果からクルクリゴの酸味抑制機構としては、PKD1L3のN末端細胞外領域以外の領域に対して作用するか、あるいは、味覚受容体レベルではなく、味細胞や神経レベルで抑制される可能性が考えられる。
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