研究概要 |
脳由来神経栄養因子(BDNF)は,神経細胞の機能や生存維持するタンパクであるが,メチル水銀(MeHg)による神経細胞死に対しては細胞死を促進する。本研究では,その作用機序の解明を目的としてラット小脳初代培養系を用いて実験を行った。BDNFの受容体TrkBに結合するNT-4を処置すると,MeHgによる細胞死が促進され,中和抗体によるBDNFのTrkBへの結合阻害によって,細胞死促進作用が消失したことから,BDNFの促進作用は,TrkBを介することが示された。本研究の結果は,BDNF及びTrkBが神経細胞のMeHg感受性を決定する要因であることを示すものである。
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