研究課題
若手研究(B)
Chk1は、DNA障害チェックポイントの際にATRキナーゼによってセリン317及びセリン345がリン酸化される。このリン酸化によって、Chk1は立体構造が変化し、Chk1のキナーゼドメインと基質間の相互作用が亢進すると考えられているが、Chk1の詳細な活性制御メカニズムは未だ不明な点が多い。今回、我々は機能未知であるChk1のリン酸化反応からChk1の機能制御にアプローチし、以下のことを明らかにした。1. DNA障害チェックポイントにおいて、ATRによってリン酸化されたChk1は活性化し、その後、自身のセリン296をリン酸化(自己リン酸化)することを明らかにした。また、セリン296がリン酸化されたChk1がドッキング蛋白質14-3-3のγサブタイプと直接結合すること、そして2量体形成した14-3-3がさらにCdc25Aと結合することで、Chk1/14-3-3γ/Cdc25Aの3者複合体が形成されることを見出した。この複合体形成により、Chk1はCdc25Aのセリン76をリン酸化し、Cdc25Aの蛋白質分解を誘導することが判明した。2. 分裂期においてChk1はセリン286及びセリン301をサイクリン依存性キナーゼ1(CDK1)にリン酸化されることを同定した。さらに、このリン酸化は、分裂前期(prophase)においてChk1を核から細胞質へ排出を促すことを明らかにした。この機構により、細胞の分裂期進行が促進される。また、Chk1のセリン286及びセリン301はDNA障害チェックポイントにおいては、CDK2によってリン酸化されることも見出した。
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