研究課題
若手研究(B)
本研究ではStxに対する感受性が高いウサギ腸管およびその摘出腸管片を用いた実験から、PPP-tetは、Stx2による腸管内の体液貯留、組織破壊を効率よく阻害すること、またStx2の腸管上皮細胞への侵入は阻害せず、むしろStx2と複合体を形成し細胞内へ蓄積することを見出した。そこで、培養Caco2細胞を用いてさらに検討したところ、PPP-tetはStx2と複合体を形成して細胞内に取り込まれるが、その後Stx2のゴルジ体から小胞体への小胞輸送が完全に阻害されていることが明らかとなった。この阻害機構は、すでに我々が明らかにしているVero細胞でのPPP-tetのStx2阻害機構と一致している。本研究より、個体におけるPPP-tetの作用部位は腸管上皮細胞であり、この細胞でStx2と複合体を形成し、Stx2の細胞内輸送異常を誘導することによってその毒性発現を阻害していること、その結果Stx2の循環血中への侵入を阻害することにより致命的な全身障害を抑制していること、が明らかとなった。本研究により得られた知見は、PPP-tetの臨床応用に向けて、重要な情報を提供するものである。
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Infection and Immunity 78
ページ: 177-183
Journal of Cell Science 122
ページ: 2218-2227
Journal of Cell Science (in press)