本研究の目的は、コピー数多型データを解析するアルゴリズムやコンピュータツールの開発である。本年度、CNVデータ及びCNV-SNP混合データからハプロタイプを推定するアルゴリズムの開発、及びコマンドライン・ツールへの実装、幾つかの集団遺伝学的分析ツールの開発(推定されたハプロタイプから連鎖不平衡を計算するツール、タグSNPを選定するツール、Mendelian inconsistencyを計算するツール、Fstを計算するツール)、ウェブサーバの立ち上げ、を達成した。特筆すべきは、ハプロタイプを推定するアルゴリズムであり、これは世界初の特徴を持つ2つのコンピュータツールに実装されている。その特徴とは、最初のツールにおいては、コピー数が暖昧なまま実験的に得られた場合でも推定可能、SNPとの混合データに適用可能、であり、二番目のツールにおいては、コピー数多型において数の違いだけでなく塩基にも違いがあるような複雑な場合でも推定可能、である。これらのツールは疾患関連遺伝子を探索する研究において、今後極めて有用となる。またこれらのアルゴリズムとツールは、The American Journal of Human Genetics誌、Bioinformatics誌において論文発表され、ツールは掲載されているURLから、研究用に利用可能である。またこの研究成果は、2つの国際会議、カナダにおけるHuman Genome Variation Meeting、アメリカにおけるThe American Society of Human Genetics 58th Annual Meetingにおいて発表された。
|