1997年「臓器の移植に関する法律」(以下、臓器移植法とする)が施行され、専門的立場から移植医療に関する普及啓発活動や臓器提供発生時には関係者間の連絡調整を行う臓器移植連絡調整者(以下、移植コーディネーターとする)が設置された。現在は社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下、ネットワークとする)および各都道府県に属し約70人が活動している。移植コーディネーターの実際の業務経験と地域(都道府県)の状況を明らかにすることにより、今後の我国の移植コーディネーターの役割や活動について再考し、専門職としての身分や資格について検討するために、全国でネットワークと都道府県に所属する「移植コーディネーターとして活動している者」(以下、現職コーディネーターとする)および「過去に移植コーディネーターとしての活動経験のある者」(前コーディネーター)、「都道府県の臓器移植事業担当者」を対象とし、移植コーディネーターの実際の業務経験と地域(都道府県)を対象に自記式質問紙調査を行った。調査から臓器移植事業の事業評価をしている都道府県はほとんどみられないこと、現職コーディネーター自身も給与等の待遇に反映されるような業務評価を受けていなかった。また前コーディネーターが辞したのは身分や雇用が安定していないことが主な理由としてあげられた。
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