研究課題
若手研究(B)
HBV感染症において、HBe抗体の出現とHBe抗原の消失は、セロコンバージョンと言われ、肝炎症状の軽快時期と一致するため臨床上重要なポイントである。それに引き続き、HBs抗体が出現しHBs抗原が消失すると、HBV感染症は治癒したものと考えられていた。近年このような既往感染者でも肝組織内にはPCRで検出可能なHBVが残存することが明らかとなった。免疫抑制状態でこのようなHBVが再燃し、再びHBs抗原陽性、HBs抗体消失することをHBVリバースセロコンバージョン(HBV-RS)という。HBV感染既往者で、同種造血細胞移植後に続いて起きるHBV-RSは、移植後期に高頻度に起きる合併症である。我々は38例のHBV感染既往の同種造血細胞移植患者について、後方視的症例対照試験を行った。ワクチン療法を開始する2003年以前の13症例を歴史的コントロール群とし、2003年以降13例においてHBワクチンの接種を行った(ワクチン群)。2003年以降でワクチン接種を行わなかった12例を非ワクチン群とした。歴史的コントロール群の13例中8例、非ワクチン群の12例中3例でHBV-RSを起こしたが、ワクチン群からは1例もHBV-RS発症を認めなかった。移植後3年でのHBV-RS発症率は歴史的コントロール、非ワクチン群、ワクチン群で各々41%, 39%, 0%だった。同種造血細胞移植後のHBワクチンはHBV-RS予防に効果があると考えられた。
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