研究概要 |
NK細胞を利用した細胞免疫療法は幅広いがんに有効な治療として注目されている. 近年, そのメカニズムも徐々に解明が進み, 我々も以前に免疫刺激性CpG ODNがNK細胞依存性に一般に免疫療法が効きにくいとされる急性リンパ性白血病に対して抗腫瘍効果を発揮することをマウスモデルを使用して解明した(Fujii H et. al. Blood. 2007 ; 109 : 2008-2013). この結果を更に発展させ, 実際の臨床において, 活性化NK細胞をフローサイトメーターを用いて同定し, 白血病の病期, 治療との関連性について検討した. サンプルは当院に入院する同意の取れた患者の末梢血を用いた。まずはじめにNK細胞数に関する検討を行ったが、総NK細胞数には明らかな差が認められなかった(コントロール : 患者=31.5% : 29.6%)しかし、細胞障害活性を有するNK細胞数(CD3^-CD16^+CD56^<dim>)に関しては、健常コントロール(10.6%)に対し、化学療法を受けている人(3.8%)と著明な減少を認めた。またIFN-γ産生T細胞の比率には差が認められなかった(コントロール : 患者=26.1% : 23.0%)のに対し、IFN-γ産生NK細胞(CD31FN_<-γ>^+CDl6^-CD56^<bright>)数は、コントロール(16.2%)に対し、化学療法を受けている人(2.8%)において著明な低下を認めた。このことは、我々の仮説と一致し、今後は症例を蓄積し、病時期、疾患別に検討を重ねたい。
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