研究概要 |
エピプラキンは、プラキン・ファミリーに属する表皮細胞内結合分子である。BPAG1(水疱性類天疱瘡抗原1)、プレクチンなど他のプラキン・ファミリー分子と同様に、そのプラキン繰り返しドメイン(plakin repeat domains)はリンカーとともに、ケラチン、ビメンチンなどの中間径フィラメントと相互作用することが明らかになった(J Dermatol 2006)。一方エピプラキン欠損マウスを作成後、マウス背部に皮膚欠損を作成し、その治癒過程を比較したところ、欠損マウスの方がやや早い上皮化を認めた(Goto et al, Mol CellBiol, 2006)。エピプラキンは創傷辺縁の増殖表皮細胞に強く発現し、かつケラチンと結合すると考えられるため、ケラチンネットワーク構造が障害されていることが、エピプラキン欠損時の表皮細胞遊走促進と関係があるのではないかとの仮説を立てた。エピプラキンとケラチンとの局在、野生型とエピプラキン欠損マウスでの、ケラチン分布、ケラチン線維の違いを検討した。その結果、野生型マウスに比較してエピプラキン欠損マウス創傷治癒過程において、光顕レベルでは、ケラチンの分布に差は見られなかったが、電子顕微鏡レベルでは、ケラチンの太さが減少していることが明らかになった(投稿中)。さらに創傷辺縁部でエピプラキンは、ケラチン5,10,6と近接して存在することが明らかになった。このことからエピプラキンは、創傷辺縁の増殖表皮細胞でケラチンを束ねるのを促進し、ストレス環境下でケラチンネットワーク構造を補強する役割を有すると考えられた。
|