研究概要 |
無症候性ラクナ梗塞の存在は,その後に起こり得る重篤な脳梗塞との関係が示唆されているためにその検出は重要である.しかし,ラクナ梗塞は血管周囲腔拡大との鑑別が困難であるとの理由から,すべてのラクナ梗塞を正確に検出することは困難である.本研究の目的は,ラクナ梗塞検出を支援するためのコンピュータ支援診断の開発である.本研究によって得た成果は以下のとおり,(1)ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大から,大きさ,形状,信号強度などの画像特徴量を計測し,それらを入力としたニューラルネットワークによってラクナ梗塞と血管周囲腔拡大を鑑別する方法を開発した.109症例を用いた実験の結果,ROC曲線以下の面積は0.945であった.(2)3次元のMRA画像とT2強調画像の融合画像を作成する新技術を開発した.T2強調画像から伸びる血流情報は血管周囲腔拡大の鑑別の重要な手掛かりになる.本研究の成果はMR画像におけるラクナ梗塞の検出支援に有用であると考えられる.
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