研究概要 |
癌幹細胞は正常組織幹細胞と共通の性質を多く持つため組織幹細胞に由来するとも考えられている.今回我々は肝前駆細胞のマーカーであるalpha-fetoprotein(AFP)に注目し,胆管癌の細胞株においてAFP産生細胞が癌幹細胞の性質を持つことを検討した.5つの胆管癌由来細胞株(HuCCT1, OZ, RBE, SSP25, TFK1)を検討した.ヒトAFPエンハンサー/プロモーター下にEGFPを発現するベクターを導入し,EGFP蛍光の有無によりフローサイトメトリーで分離し,両者を比較したところ,RBEのみAFP及びEGFPの発現を認めた.AFP-EGFP陽性細胞は自己増殖能と二分化能を有することが示され,造腫瘍性も有していた.また,Notchシグナルが幹細胞性の維持に重要な役割を果たしていることが示唆された.さらに,癌幹細胞の起源を検索するため,癌遺伝子調節発現マウス(cMyc-ERマウス)を作成することに成功した.このマウスの胎仔肝細胞からのみ旺盛に増殖する細胞株を得られたことから,幹細胞が癌化することによって癌幹細胞が生じる可能性が示唆された.
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