研究課題/領域番号 |
20790960
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩槻 政晃 九州大学, 大学病院, 医員 (50452777)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2009年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2008年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | Fbw7 / 大腸癌 / ユビキチンリガーゼ / 予後因子 / 細胞周期調節因子 / FBXW7 |
研究概要 |
細胞増殖や細胞周期の調節にユビキチン介在性タンパク質分解が重要であり、癌遺伝子および癌抑制遺伝子産物もユビキチン化により発現調節されます。今回、c-Mycのユビキチン化と分解を促進することを明らかにされているユビキチンリガーゼFbw7に注目した。Fbw7は大腸癌を含めた多くの癌腫で変異することが知られているが、実際の臨床サンプルでの発現意義については研究がなされていない。そこで大腸癌におけるFbw7遺伝子の発現の臨床的意義について調べた。大腸癌手術検体(130症例)を対象にFbw7 mRNAをReal-time PCRにて定量し、大腸癌組織(T)と大腸正常組織(N)の発現量を比較した。さらにFbw7 mRNAのT/N中央値と臨床病理学的因子、予後との関連を解析し、多変量解析を行った。また、免疫染色にて癌部と正常部のFbw7の発現を比較検討した。さらに大腸癌株化細胞を用いて、Fbw7をsiRNAで抑制することでターゲットであるc-myc, cyclin Eの発現を確認し、細胞増殖能、浸潤能について検討した。結果を以下に示す。 1) Fbw7のmRNAは正常大腸組織に比較して大腸癌組織で発現が低下していた(p<0.01)。2) Fbw7 mRNA低発現群は腫瘍深達度に有意差を認めた(p<0.01)。3) Kaplan-Meier法での生存解析では低発現群で予後不良であり、Fbw7 mRNA発現は予後に対する独立予後因子となった。4) 免疫染色では癌部における発現は正常部と比べ低かった。また、Fbw7の発現とc-mycの発現とは逆相関であった。5) 大腸癌株化細胞でFbw7をsiRNAで抑制するとc-myc、cyclin Eの発現が増加した。6) siRNA抑制により細胞増殖能、浸潤能が増加した。以上の結果より大腸癌臨床検体ではFbw7の発現が低下し、それがc-myc, cyclin Eの過剰発現を促進することで細胞周期制御の異常を生じると考えられる。この結果は、将来的にユビキチンリガーゼによる細胞周期制御がプロテアソームをターゲットとした治療を開発することに有用であることを示唆している。
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