研究概要 |
子宮内膜症病変にIL-17A陽性細胞存在し、腹腔内貯留液中にTH17が存在することを確認し、in vitroの実験により、子宮内膜症においてIL-17AがIL-8, COX-2といった炎症性物質の産生を亢進させ、これらがp38MAPK, ERK, JNKといったシグナルを介することを確認した。さらに、子宮内膜症において重要であるとされているサイトカインTNFaとの同時添加により相乗的なIL-8産生の亢進がみられた)。Th17,IL-17Aが子宮内膜症における慢性炎症の増悪、内膜症細胞の増殖に関わることを報告した。また、IL-17Aのみならず、TH17サイトカインであるIL-17Fにより、子宮内膜症細胞のサイトカイン産生を亢進し、炎症反応の増悪に関与することを報告した。子宮内膜症の治療法は現在ホルモン療法と手術療法のみであり、妊娠希望のある患者に関しての薬物療法は皆無である。このようなサイトカインをターゲットとする治療が、ホルモン療法に代わる治療法の可能性をもつと考えている。 また、子宮内膜症を母地とする卵巣がん症例についても検討したところ、卵巣がんの部位にかなりのTH17が存在することも確認した。このような炎症の部位が、癌化の環境を作り上げているのではないかという仮説のもとさらに検討していく予定である。 子宮内膜症、子宮内膜症の癌化した部位にTh17が集積していることを確認した°子宮内膜症の増悪、増殖に関与することを報告した。今後は子宮内膜症に対する治療夕ーゲットとしての可能性を今後マウス子宮内膜症モデルを用いて検討していく予定である。また、子宮内膜症を基盤とした卵巣がんにおけるTh17, Th17サイトカインの意義につきさらに検討していく予定である。
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