研究課題
若手研究(B)
上皮成長因子(EGF)は腫瘍に対して増殖因子として働くため、その受容体(EGFR)の阻害剤は悪性腫瘍に対する効果的な分子標的治療薬として注目されている。しかし、重篤な副作用である特発性間質性肺炎による死亡例が頻発しているため、原因の解明が急務となっている。そこで、この研究ではEGFR阻害剤による間質性肺炎の原因解明とその抑制方法を検討した。頭頸部癌細胞株であるHSC-3をEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(AG1478)もしくはEGFR抗体存在下で培養すると、IL-6の発現が増加することが判明した。EGFR阻害剤で処理をした腫瘍細胞の培養上清をコンディションメディウムとしてヒト肺由来線維芽細胞を培養し、RNAを抽出してreal-time quantitative RT-PCR法で線維化のマーカーであるコラーゲンの発現量を検討した。EGFR阻害剤処理をしたHSC-3の培養上清で培養した線維芽細胞ではコラーゲンの発現量が有意に増加していた。これらの結果から、EGFR阻害剤で処理された腫瘍細胞から産生されるIL-6が線維芽細胞の線維化を誘導している可能性が示唆され、EGFR阻害剤による重篤な副作用の一因となっているのではないかと考えられた。
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