研究課題
若手研究(B)
口腔粘膜の異型上皮・上皮内癌を病理組織学的に区別するのは困難である。そこで口腔粘膜上皮細胞の分化レベルと増殖中心を確定すれば、それからの変位状況を判定して、適確な診断が可能であるという仮説をたてた。これを証明するために、ケラチンK分子種ならびにKi-67抗原の発現状況を免疫組織学的に検討したところ、K19およびK13がそれぞれ基底細胞、棘細胞マーカとして有用で、口腔粘膜上皮の増殖中心が傍基底細胞層に存在することが判明した。異型上皮ではKi-67陽性(+)細胞が基底第一層へ降下かつ重層化し、CK19+の消失とCK13+の表層限局化が生じて二層性異型上皮の基本構成が確定された。上皮内癌は、基底細胞型・疣贅型・萎縮型・乳頭型の三型に分類でき、上皮内癌とは角化と基底細胞への二方向性分化が開始した状態と解釈された。棘細胞型では、Ki-67+細胞が基底第一層に配置する<増殖帯の辺縁化>現象と、K19-K13が消失して相反的にCK17+が出現する<細胞骨格のスイッチング>現象は悪性転化の特徴的指標とみなされた。上記診断基準にしたがって、過去31年間の口腔癌88症例172病変について術後再発の経緯を詳細に検索し、再発の有無と切除断端の露出病変との関連を調査した。再発例の切除断端にはいずれかの上皮内癌が6割に残存していることが判明し、上記の診断基準が有効であることが確定された。ついで、過正角化型異型上皮をともなうものが多発例で5割以上、再発例で約3割に達したので、同異型上皮を免疫組織化学的に検索した結果、過正角化型異型上皮は悪性とは判定できないものの、悪性転化の背景病変としては重要で、同異型上皮の有無が予後判定因子として有効であることが示唆された。
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