研究課題/領域番号 |
20791716
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
服部 容子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (20337116)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2008年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | セルフマネージメント / セルフモニタリング / 慢性心不全患者 |
研究概要 |
入退院を繰り返す患者の健康管理能力を高めるためには、患者が自らの疾病増悪に伴う兆候や身体的な感覚、日常生活活動の変化を定期的に観察する「セルフモニタリング」の様相を把握、適切な療養生活支援を実践する必要があると考えられる。しかし、現在のところ、慢性心不全患者のセルフモニタリングとは具体的に何を指すのかが曖昧であり、不十分な健康管理や病状増悪の兆候に対する気づきの遅れなどにより、再入院に至る患者は少なくない。そこで本研究は、慢性心不全患者のセルフモニタリングの概念を明らかにするとともに、慢性心不全患者のセルフモニタリング評価尺度を開発することを目的とした。 まず、Rodgersらの概念分析法を参考に概念を特定した。31件の関連する文献を分析した結果、心不全患者のセルフモニタリングは、「良好なセルフマネージメントおよびQOLの改善を導くために、心不全に伴う身体症状の変化、身体活動の変化、体調管理の状況について自覚または測定し、その内容を解釈すること」であることが明らかになった。次に、その概念を基軸として、外来通院中の慢性心不全患者23名に対する半構成的面接を実施し、セルフモニタリング評価尺度(ESSMHF)の開発を行った。調査票は領域1 と領域2からなり、領域1は患者がどのような視点で健康管理をしているのかを反映し、セルフモニタリングの「自覚」と「測定」の様相を評価できるようにした。領域2は、患者が「自覚」「測定」した症状の理解状況を反映し、セルフモニタリングの「解釈」の様相を評価できるようにした。それをもとに本調査を実施した。その結果、研究協力を依頼した167名中152名から同意が得られ(回収率91.0%)、142名から有効な回答を得た(有効回答率93.4%)。探索的および検証的因子分析によりデータを精選し、領域1は6因子21項目に、領域2は4因子16項目に分類された。クロンバックα係数は領域1で0.91、領域2で0.89を示し、級内相関係数は領域1で0.74、領域2で0.67を示し、内的整合性と安定性が証明された。併存妥当性の検討では、EHFScBSとの相関関係係数が高く現れると予測された項目で比較的高い相関がみられた。以上の結果、内的整合性、安定性および併存妥当性が証明され、ESSMHFは慢性心不全患者のセルフモニタリングの様相を査定する上で有効なツールとなることが確認された。ESSMHFは慢性心不全患者が行う健康管理の適切さや困難状況を把握する手段として活用可能であり、慢性心不全患者の個別的状況に応じた具体的な療養生活支援に役立つと考えられた。
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