既存調査のデータベースの活用により透析者のセルフケアに影響する要因を検討した。糖尿病の有無や合併症の存在は5年後のセルフケア実施と関連がなかった。高齢透析者のセルフケアに対する職種別の医療従事者からの支援では、塩分・水分管理に対しては主治医や看護師、栄養士からの支援が、カリウム・リン管理に対しては主治医以外の医師や栄養士からの支援が効果をもつことが示された。高齢透析者の語りからは身体感覚や客観的なデータを判断材料にしながら生活の振り返りと自己分析、自分にあったセルフケア方法に関する試行錯誤が行われていることがわかった。高齢透析者と家族のペアへの調査からは、透析者のセルフケアのスタイルによって家族側の支援が規定されること、検査データ等に照らして自らの生活を振り返る機会のある患者に比べ、情報を得る機会が少ない家族では悩みを抱える可能性があることが示唆された。
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