研究概要 |
2008年は、研究計画にあるように、(1)新たな空間データのクラスター分類手の確立、(2)時空間データのホットスポットの検出、(3)大容量からなる空間データのホットスポットの検出、の3つを柱に研究を進めてきた。我々はエシェロン解析を応用する事により、これら研究目的にあるような解析を実現させた。エシェロン解析とは、空間データに対して、空間的な位置を表面上のデータの高低に基づき分割し、空間データの位相的な構造を系統的かつ客観的に見つける解析法である。 (1)について、エシェロン解析に基づいた新たな空間データの分類法として、ピークを中心とする圏への分類を新たに提唱した。この手法をアメリカ合衆国各州の失業率データや、日本の都道府県の人口密度データに応用した。これらの成果を、COMPSTAT2008、2008年度統計関連学会連合大会で報告した。 (2)について、解析対象のデータを時間と空間の広がりの中で観測される時空間データに拡張し、時系列的なホットスポットの推移の表現を行った。時空間データにエシェロン解析を応用することで、従来の手法では困難であったホットスポットの時系列的な移動、分割、融合、吸収などの推移が明らかになる。これらの成果を、COHPSTAT2008、IASC2008、研究費補助金による研究集会「時空間統計解析その理論と応用」で報告してきたが、まだ十分なデータが入手出来ておらず、今後の課題である。 (3)について、約14,000の領域数からなる、大規模な環境に関するシミュレーションデータに対して行った。エシェロン解析により、データの持つ階層構造のピークから優先的にホットスポット候補を検出することを可能にし、その結果、大幅に計算コストを抑えられることから、大規模な空間データにも対応できることを示した。これらの成果は、2008年度新領域融合プロジェクトによる研究会「大規模データ・リンケージ,データマイニングと統計手法」で報告した。
|