研究概要 |
グルタミン酸は哺乳類の中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であり、その速いシナプス伝達はAMPA受容体により担われている。近年、主にスライス標本を用いたin vitroの解析により、GluR1サブユニットを含んでいるAMPA受容体が神経活動依存的にシナプスへ移行することが、シナプス可塑性において中心的役割を果たすことが示唆されている。しかし、in vivoにおけるAMPA受容体の動態に関しては、ほとんど明らかにされていない。 本研究は、申請者らが開発したGFP融合GluR1タンパク質(GFP-GluR1)を神経活動依存的に発現するトランスジェニックマウス[Matsuo et al., Science (2008)]を用いて、主にAMPA受容体の動態を様々な観点から解析を行い、記憶学習のメカニズム解明に努めるものである。 平成20年は研究初年度ということでまず、研究代表者が平成20年3月まで所属していたThe Scripps Research Institute (La Jolla, CA, USA)より本研究に用いるトランスジェニックマウスを正式手続きを経て輸入した。更に、動物飼育施設での微生物検査基準を満たすために、これらのマウスより受精卵を得て、クリーンなマウスに移植を行い、クリーンなマウスの作製を行った。また、藤田保健衛生大学・総合医科学研究所内に新たな動物飼育・実験施設の設置工事が行われた。これらの諸手続き、`操作、工事などに予想以上に時間を費やしたため、研究計画は多少遅れている状況であるが、トランスジェニックマウスの繁殖、予備実験が進行中である。
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