研究概要 |
米国においてタイヤのリコールに関する法律TREAD Actが制定され,これにより新たに販売される新車へのタイヤ空気圧監視装置(TPMS)の装着義務化が開始された.さらなる自動車制動制御の向上と,路面状態警告システムの開発を目的として,走行中にタイヤの変形をモニタリングするインテリジェントタイヤの開発が急務である.本研究では,タイヤへの適合性を考慮しタイヤゴム自体をベースとした電気容量型センサの開発を行った.本センサのベースはタイヤゴムであり,弾性率,ポアソン比等の力学的特性が測定対象物と一致するため,異材界面がなく疲労特性の問題を解決する.さらに,タイヤと同等の測定ひずみ範囲,耐環境性を持ち,タイヤの自然な変形を妨げない特徴を持つ.また微細構造の作製・大量生産を可能にするため,電気容量電極はフォトリソグラフィを用いて加工する.以上よりインテリジェントタイヤ用のセンサとしてフォトリソグラフィにより作製したゴムベースのひずみゲージを提案し,以下の結果を得た.(1)フォトリソグラフィーリフトオフは天然ゴムのような粗面から電極パターンをはく離させる必要がなく,微細櫛型パターンが作製可能である.ゴムベースはタイヤと同等の力学的特性を持つため,タイヤの変形を干渉することなくひずみ測定が可能になる.(2)引張ひずみの増加に伴い,センサの電極間隔は増加し電極幅は減少するため,センサ電気容量は線形に減少する.静的引張試験の結果,負荷除荷によるヒステリシスが少なく,また測定ひずみ範囲は14%程度と十分大きい.また疲労試験の結果から表面を被覆することで10^6回以上の疲労寿命があることを明らかにした.(3)タイヤ内側表面ひずみの測定を実施し,提案したゴムベースひずみゲージのタイヤ適用可能性を明らかにした.
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