研究課題/領域番号 |
20870025
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
自然人類学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 剛 京大, 霊長類研究所, 准教授 (80452308)
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研究期間 (年度) |
2008
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,302千円 (直接経費: 2,540千円、間接経費: 762千円)
2009年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2008年度: 1,742千円 (直接経費: 1,340千円、間接経費: 402千円)
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キーワード | 音声学 / 系統進化 / 解剖学 / 行動学 / 音響分析 / ニホンザル / ヘリウム音声 / 聴覚フィードバック |
研究概要 |
ヒト以外の霊長類における音声器官の運動制御の随意性を評価するための実験装置を構築した。気体中のヘリウム濃度を変化させることによって、被験個体の発した音声のうち、声帯の弾性によって決まる基本周波数を変化させずに、構音運動が作用する音響学的特徴の聞こえのみを変化させることができる。本年度は、ニホンザルを対象として以下の実験を行った。 対象個体を選定したのち、ガスチャンバー内における音声の生成の馴致訓練を行い、音声データ収集の可否を確かめた。収集した音声データを用いて音響分析を試み、実験設備等の改良により、チャンバー内においても分析に耐えうる良質な音声データの収集を実現した。つぎに、対象個体を収めたガスチャンバー内に、ヘリウム(80%)と酸素(20%)の混合気体(ヘリオックス気体)を注入し、ヘリウム濃度を任意に調整しながら音声データを収集した。音響分析の結果、ヘリウム濃度が40%程度に達するまでは、発せられる音声は倍音成分が豊富なQuantalな音で、その音響学的特徴も濃度上昇にともない線型的に変化した。つまり、この濃度の範囲内では、ヘリウムの濃度に関係なく、音声の生成運動に変化がないと考えられる。しかし、閾値濃度を超えると、Quantalな音声が急に少なくなり、ノイズを多く含むタイプの音声がほとんどを占めるようになった。その変化には、聴覚フィードバックを含む認知科学的要因とともに、その音響物理学的な制限要因も考えられる。それらを確認するために、X線テレビを用いて、ヘリウム音声実験中における音声器官の運動を観察する計画である。
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