研究課題/領域番号 |
20870028
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大澤 志津江 神戸大, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80515065)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,302千円 (直接経費: 2,540千円、間接経費: 762千円)
2009年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2008年度: 1,742千円 (直接経費: 1,340千円、間接経費: 402千円)
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キーワード | 細胞間コミュニケーション / 極性崩壊細胞 / 細胞排除 |
研究概要 |
多細胞生物の上皮組織に癌原性の異常細胞が生じると、組織はそれを積極的に認識・排除することによりその恒常性を保つ。こうした上皮の異常細胞排除システムは、正常発生のみならず、癌の発生メカニズムにも深く関与していると考えられているが、上皮組織がいかにして個体にとって有害な細胞を認識・排除するのか、そのメカニズムの詳細は不明である。当研究室ではこれまでに、(1)ショウジョウバエ成虫原基の上皮組織に生じた極性崩壊細胞がc-Jun-N-terminal kinase(JNK)依存的な細胞死経路により排除されること、またこの細胞排除は(2)正常細胞-異常細胞間で起こる細胞競合に依存しており、(3)極性崩壊細胞がその周囲を正常細胞に取り囲まれたときのみ起こることを見いだした。本研究では、このモデル系を利用し、正常細胞側から極性崩壊細胞側へと伝達される細胞間コミュニケーション機構を明らかにする。この目的を達成するために、まず極性崩壊細胞が上皮組織に生じた際のJNKの活性化パターンを詳細に観察した。その結果、JNKシグナルは排除される極性崩壊細胞においてのみならず、その周囲を取り囲む正常細胞においても活性化していることが明らかになった。そこで、この正常細胞側におけるJNKシグナルの役割を遺伝学的手法により解析した結果、極性崩壊細胞の排除に促進的に機能することが明らかとなった。 これらの結果は、正常細胞と極性崩壊細胞との間で起こる細胞競合が、両者におけるJNKシグナル伝達のアウトプット変換機構により制御されていることを示唆するものである。次年度以降において、このJNKシグナルのアウトプット決定機構を明らかにすることで、細胞競合の全容解明に迫るのみならず、細胞間コミュニケーションの分子機構に関する先駆的成果があげられるものと期待される。
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