研究概要 |
サーカディアンリズム(約24時間の体内時計)は多くの細胞機能や生理機能を支配しており、生命活動の維持において極めて重要な機構である。本研究は、食品成分によるサーカディアンリズムの制御を目指し、まず、リズム制御効果がある食品成分探索系の構築を行った。 サーカディアンリズムを制御する食品成分探索系の構築 マウス線維芽細胞株であるNIH3T3細胞は、時計遺伝子が正常に機能しており、個々の細胞がサーカディアンリズムを有している。この培養細胞株に、時計遺伝子(Bmal1,Per1,Per2)のプロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を結合したコンストラクトをゲノムに挿入し、この遺伝子を安定的に発現する細胞株を取得した。この細胞株を培養しながら、発光をリアルタイム検出装置で定量したところ約24時間周期のサーカディアンリズムが計測された。この培養上清に、サーカディアンリズムの位相を変化させることが知られている薬剤であるフォルスコリンを添加したところ、これまでの知見と同様に、リズム位相が変化した。よって、この系を利用して、細胞のサーカディアンリズムを変化させる食品成分の探索が可能となった。 レスベラトロールによるサーカディアンリズム制御作用 上記実験系を利用し、赤ワインに含まれるポリフェノールであるレスベラトロールがサーカディアンリズムに与える効果を検討した。その結果、レスベラトロール(100μM)の添加により、培養細胞のサーカディアンリズム位相が動くことを明らかにした。そして現在、サーカディアンリズムの制御効果を示す食品成分の探索を行っている。
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