研究概要 |
我々は悪性グリオーマに対するオンコリティックウイルス(OV)を用いた宿主の間葉系システムにおける応、腫瘍のマイクロエンバイロメントについて研究を行ってきた。これまでの研究の結果は、OVの感染後に血管透過性が有意に亢進しているのを認め、抗血管新生阻害薬cRGDペプタイド(Cilengitde)を用いることにより、OVによる抗腫瘍効果を増強し、治療効果が得られたことである。 以上の結果を踏まえ、今年度の研究では、以下のような成果を得ることができた。 1.OVや薬剤について、本研究のセットアップを行った。 OVに関して、HSV-1についてはOhio State University脳神経外科のDr,ChioccaとDr,Balveenから譲渡していただいた。さらに、アデノウイルスについては札幌医科大学分子医学研究部門の濱田博文教授から譲渡していただいている。薬剤については、cRGDペプタイド(Cilengitide)についてはNIHと交渉し、.さらに、ベバシツマブについても製薬会社より供与を受けた。 2.投与法を変えたり、他のOVを便用するこどにより、同様な結果を得ることができるかについて検討した。 1)cRGDペプタイド(Cilengitide)の投与法を全身性投与法に変えても効果が田現することがわかつた。 2)他のHSV-1ウイルスrQNestin34.5,(腫瘍特異的なネスチンプロモーターのコントロール下でICP34.5遺伝子がドライブされる)を使用したところ、相乗効果を得ることができた。 3)腫瘍はU87dEGFRのヒト脳腫瘍細胞系列を使用したヒト脳腫瘍ヌードマウスモデルを作製し、生存期間が延長した。来年度は、抗血管新生治療薬によりOVの腫瘍溶解を増強するメカニズムをさらに調べる予定である。
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